「剣道」が嫌いになる前に

皆さん、暑い中毎回の稽古ご苦労様です。
「修練」だとか「気合」だとかの言葉はこの時期綺麗さっぱり捨ててしまいましょう(笑)
梅雨の時期は湿度が猛威を振るっていましたが、今は気温も相まって面内温度は急上昇しています。これでいつもの稽古をやり続けると体にとって危険でしょうし、逆に続けられる方は立派なアスリートです。どんな状況でも負けない体力と精神力を持ち合わせていると人に自慢できますが、それ以外が現実は大多数なわけでして、どうか体調が崩れる前に離脱をお勧めします。


この時期は防具を付けた稽古より、むしろ体力強化をお勧めしたいです。持久系の運動は今の状況だと運動量から来る疲労より疲弊が勝ってしまうために思うようにはこなせませんし、体力が付きにくいのです。ですが筋力強化であれば、暑くて苦しいものの実行できないほどではないでしょうから。


とにかく稽古に参加して、いっぱい汗を掻いてやった「気分」になって、自分へのご褒美としてビールをグビグビ、美味しいものをパクパク、、、、はある意味絞ったカロリーをプラマイゼロにしてしまうでしょうからご注意を(笑)


素振り、スクワット、カーフレイズ、すり足、、、稽古外ですが、私はこれを定期的に持続しています。これだけでも結構体力は維持できるものです。
冬場は寒さから筋肉が収縮するため入念なウオーミングアップが欠かせませんが、夏場は幸いそこまでは必要とはしません。(全くやらない、という訳ではありません)
ですので、面をつける稽古を少なめにして、割り切ってトレーニングされるのも手です。




私は来月で剣道を始めて3年経過することになりますが、正直に言えば剣道を本当に好きになったのは今年の1月頃、2年を超えた辺りからでした。それまでは、惰性でやっていた面が多かった気がします。


これについては、過去記事にも書いたように終わりが見えないことや、現状の自分が上手いかどうかが分からなかった、いや大して上手くなっていなかったという現実に対する徒労感に満たされていたからだと思います。


私のような大人初心者にとっては、剣道をやっていく上で体の各部の様々な作用・運用がとても難しかったからです。


私とほぼ同じキャリアの息子は先生からも一定の評価を得た実力を持っているようですが、私が最近取り組んでいる「すり足」をやらせてみたらグダグダです(笑)全然上手じゃない。
けれど、地稽古や試合になるとそれなりに上手にやれるのです。子供と大人とでは、体の使い方・運用方法が全く違うことを実感します。


過去に剣道を修練し、長いブランクを経て復帰される「リバ剣」と呼ばれる方もある種同様のような気がします。
もちろん昔の自分のイメージと現実をアジャストするのはとても大変ではあるものの、それを掴めば比較的早期にしっかりした形になっていくようです。


大人から剣道を始められる方は特別大変だと思います。
半身で構えて左手を重点的に使って素早く前方に体を移動させつつ打突するというこの基本的な一連のプロセスでさえ、その中に様々な技術的な課題があり、それを逐次克服しないとプロセス全体が成立すらしないのですから。
姿勢を維持し体を前へ送るための最低限の下半身の筋力も必要であるし、打突のほとんどが腹筋、背筋その他体の各部の筋力が必要になります。
これを各部への意識をことさら感じずに繰り出すには、体力は勿論のこと時間を掛けて何度も反復して体に染み込ませていかなければなりません。


私は最近自宅ですり足ばかり稽古しています。剣道稽古の基本中の基本であるすり足。
この「前」「前」「後」「後」のすり足で右足を送って素早く左足を引きつけ、同時にその瞬間に少し前荷重に置いて左足の指先にほんの少しでも力を加えたらすぐさま飛び出せる姿勢を作ることが、打突の速さを生み出すと3年掛かってようやく見え始めたくらいです。


それなりに経験を重ねてきても、基本が如何に大事であるかということに毎度嫌という程気付かされます。


今まで何度思い考えたことでしょう。
ここまで熱心に剣道に向き合うなら、もっと若い時にやっていたら良かった。
あと10年早く剣道に出会っていたら、取り組み方も変わっていただろう。


今の現状、上手くなったと思ったら下手になり、上手く打てたと思ったら全然打てなくなる。体が動かなくなり言うことが効かなくなったため、なかなか成果や結果が伴わない状況ではあるけれど、、、、
むしろ私にとっては良かったと、少しづつ最近思えるようになってきました。


それは、今までのどんなスポーツやエクササイズですら、ここまで自分の体の各部を見つめてその癖や特性を調べることなどして来なかったからです。
自分の体の硬さや、融通の利かないことを嫌という程認識するなんて剣道をやっていなければ考えもしなかったでしょうから。


剣道の様々な作用・運用を体得するには、いちいち自分の体と相談し、自分ができる形に翻訳して実践しなければなりませんが、このプロセスは自分を知ることに繋がっていくのです。今の自分を肉体的に把握するということに。


自分を知っていれば、先生や先輩に相談するとききっと役に立ちます。
先生はその人それぞれの癖や身体的な特徴までは把握していません。どうしても画一的な指導しかできないのです。
だから、自分の持っている固有の癖を通して相談してみれば、きっと現状の打開策のヒントをそれまで以上に具体的に示してくれるはずです。


剣道とは、「息の長い習い事」だと考えてみましょう。慌てる必要も焦る必要もありません。
簡単には到達できないでしょうが、我慢強く着実に歩みを進めていけば、きっと誰でも高い場所に赴くことができるのです。


もし剣道を嫌いになりかけたら、深呼吸して周りを見渡してみてください。
貴方が努力している姿を見てきた人たちがいるはずです。そして、きっと好意的に手を差し伸べてくれるはずですから。

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