大人初心者に捧げる 全身を使った打突への道 1章  構えについて考える

私は「理屈」を重視します。
なぜなら「理屈」が分からなければ再現できないからです。
理屈とは「レシピ」です。レシピがあるから何度でも同じ料理を再現できるのです。


「何となく」「感覚的に」という曖昧さはできるだけ排除したいのです。
もちろん理屈が違っている場合もありますが、ただその際は修正するだけ、ただそれだけです。
実際私がこれから示す「レシピ」についても以前書いたものと内容が変わっています。要は発展途上であるわけです。本質を知りたいなら、高段の先生にお聞きして貰っても構いません。



今から提示する理屈については、これが絶対的に正しいなどと言うつもりはありません。皆さんには、ご自身の体に合う理屈を見出して貰えれば良いと考えているだけですから。そのヒントとして活用してください。


まず、パペットを用いて「打突開始直前」の状態の構えを紐解いていきます。これはパペットの左手方向から見た側面の図です。
パペットの腕の作法は気にしないでください、今回見るべきポイントは足であり体ですから。
素体.png

身体の中にマークされている○については関節の位置を表しています。
この関節をうまく利用する事、或いは制御する事が重要なのです。



【前後の足幅とスタンス】
ストライド.png
足裏の配置の図です。

自分の肩幅よりやや狭めています。前後の間は拳一つ程度の間隔です。
前後は狭いでしょうが、これは「攻め」の時に効かせたいので、あえてそうしています。

左足うら.png
右足裏の床の設置箇所はつま先部分、左足裏も同様ですが、左足裏の方が設置面積は広めです。
赤い部分を主に設置させています。

左足については足先が相手に向かうようにしてください。これが外側に開くと、左足が生み出す推進力が減少します、必ず向けるようにしてください。

足先を意識するのが苦手な人は、左足の膝頭を相手に向けるようにします。そうすると連動して足先も前に向くようになります。
右足裏は姿勢バランスを取るために床面に設置しているようにし、前進するときは両足に掛かる上体の荷重バランスを左足側に少し向け、右足を床から離して移動、後退は逆の方法で移動します。

左足のかかとの上げる高さについては、各人の好きなようにしてください。
あくまで一般的な事を言えば、かかとを上げ気味にする場合、蹴り出しの瞬発力が上がるものの飛距離は縮まる。逆にかかとを床に接するギリギリまで下げると瞬発力は下がるが飛距離が上がるように考えますが、これは各人の好みで。



【構えた時の体重の掛け方】
素体体重.png
この矢印部分は、上体の荷重が左右の足にどのように掛かっているかを示しています。
両方同じくらいの掛け方にしています。前後に均等に体重を掛けるのには前進後退をしやすくする狙いがあります。どちらか一方に過度に掛けてしまうと自在な移動ができなくなります。


あと注目してもらいたいのは体重を掛ける「イメージ」です。
矢印が足と胴体の付け根を頂点とした三角形になっています。この角度がとても大切なのです。
少し説明します。



「左足に体重を乗せろ」
皆さんは一度はこの言葉を投げ掛けられた経験があるかと思います。
しかし、実際身体の自重を左足一本で受けて、打突動作を行うことできますか?


私には無理です。
正確に言えばできなくはない。
ただ始動が遅くなりそれが「起こり」となって打つ前に打たれるでしょう。
左足1本で、体の重さを支えつつ打突を開始するには左足に大トルクを生み出せる凄まじい筋力が必要だからです。


「左足に体重を乗せろ」という言葉で連想されるのは、上体の真下に左足を設置するようなイメージになりがちなのです。
それは打突には適さない形になります。


しかし、この三角形が示す通り上体を両足で「斜めに支える」形にすると、体重からくる各足に対する負担が軽く「感じる」のです。この辺りは各人実際構えて確認してください。




【骨盤のポジションと上体の姿勢】
足の付け根から腰に至るブロックが「骨盤・お尻」としてそれが腰でジョイントし上体と繋がっています。
腰は正確に言えば関節ではないでしょうが、実際は関節によく似た働きをするため上体と切り離して表現します。


「骨盤・お尻」部分はお尻を上げてやや前傾させています。これは前進方向に稼働しやすいように、また力を加えた時に移動しやすいようにしています。
上体は「骨盤・お尻」の前傾とバランスを取る意味でやや背中方向に傾けていますが、完全なS字バランスにはしていません。足の押し出す力の弱い方なら若干前傾していても構わないでしょう。
上体については腰を起点として、しっかり腹筋背筋で支える意識を持っていてください。
また「骨盤・お尻」と「上体」は一つのユニットとして打突時に稼働します。腰に力が入っていないと打突の際にここから力が抜けてしまいます。そのためしっかり力を溜めておくイメージが大切です。




【左足について】
左足のひかがみはピンと張ります。「張りすぎず緩めすぎず」にはしません。
足には多数の関節がありますが、関節とは自在に動かす便利な機能がある反面、その柔らかさが力を逃がしてしまいます。
これから打突を行うとき、左足で生み出した力が各関節で失われないよう、しっかり張ります。
その際特にふくらはぎを意識して張ってください。ふくらはぎを張ると同時に太ももにも張りが生まれます。ふくらはぎ・太ももが繋がった1本の棒になるのです。
そしてこの時、太ももと上体の接続部もしっかり繋がるイメージを持ってください。ここが緩んでいると同様に力が上体に伝わっていく過程で逃げてしまいます。



【右足について】
右足は膝部分で軽く曲げます。
右ひざの曲げる角度を調整することで体を下方向に沈み込ませて重心を下げます。重心は高いと身体を不安定にさせますので、できるだけ低くさせます。
また膝を曲げる過程で徐々に右足の荷重を軽くさせて左足に荷重を掛けていく動作を行います。
それは打突の更に直前の動作になりますが、そのプロセスは次章で説明します。





さて、この姿勢で実際立ってみましょう。右ひざはことさら曲げなくても良いです、軽めにしておきます。
両足のスタンスと足幅、骨盤・上体の姿勢、左足のひかがみの張り、右足の曲げを行い、左足の足先に少しだけ力を加えてみてください。
左足先がつかむ地面を押すとどうなりますか?
それほど強い力は不要です。軽く足先に力を加えてください。
これで上体が前方に動きそうになりませんか?

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