気まぐれ報告 面打ちの改良


仕事が多忙になってきて更新が儘ならなくなりましたが、相変わらず剣道は続けています。


先日日本中を沸かせたラグビーW杯はテレビ観戦でしたが大いに楽しみました。元ラガーですが自分の現役の頃とルールがかなり変更されているため戸惑いながらでしたが、代表の活躍には心が揺さぶられ感動しました。


けれど、それとは規模も話題も世間的には小さな扱いだった全日本剣道選手権の方が個人的には大いに堪能できました。
特に準決勝の各試合は、客観的にもとてもエンタメ感あふれるパワーあるコンテンツだったと実感していました。


個人としては埼玉の足立選手の健闘にはすごく感動しましたし、ああいう剣士・剣風になるべきなんだろうと考えさせられた気がします。
大会は國友選手が悲願の優勝を遂げて大会としてもある種の大円団を迎えましたね。





私は以前から自分の面打ちにひたすら疑問を感じていました。何かしっくりこないのです。
その原因は何なのかずっと考え思考を巡らせていました。


一番の問題点としては「打突力が小さい」事。
見た目や音、インパクトはそれほど軽くはない。けれど自分としてはもう少し大きくても良い気がしていたのです。


次は「技が小さく見える」事。
小さい面だという事で振り幅は小さいわけだから、どうしても体の可動部分も手首や腕になりがちでそれはどうしようもない事じゃないか、そう考えていました。


しかし、同門の剣友との何気ない雑談の中から、その解決のヒントがフッと出て、ひょっとしてそれが自分の面技を根本的に変える事に繋がるのではないかと直感し、ずっとその取り組みを続けていた訳です。


従来の私の面技については上記2点だけじゃなく、他に複合的な問題が絡んでいました。
しかし、それまでずっと抱えてきた大きな問題が解決に向かいそうな気がしたため、発展途上ではあるものの中間報告として取り上げてみます。


私の面打ちの改良目標、それは端的にいえば

「強靭な足腰で支える、体全体を使った打突力溢れる面」

となります。




【構え・足】
蹴り出しを担う左足については、体重のかけ方に問題を抱えていました。どうしても踵が必要以上に上るため、親指の付け根が切れてしまうのです。

それは蹴り出し時に瞬間的に一番負荷がかかるのが「点(親指の付け根)」だったことだと推測しました。
点で捉えるから圧が集中する、だったら面で支えられないかと考えた訳です。
面で支えることで、上体を前方に掛ける力をやりやすくできるのは自明ですから。


一般的には「湧泉」に体重を掛けた方が良いと言われていますが、私は湧泉というよりは五指の根元にある肉球部分(正式には「母趾内転筋横頭」)を床に設置させようと工夫しました。結果的に湧泉に力が掛かるのですが、肉球部分の分厚い肉にしっかり床と摩擦させた方が楽に体を前方に持っていけるのではないかと考えた訳です。


この部分をしっかり床に設置させようとすると効果が簡単に現れました。
接地面積をなるべく増やそうとすると(べたっと着けようとすると)必然的に踵が下がり床近くに位置します。そうするとひかがみが伸ばされるからです。

足の長さや体の硬さもあり人それぞれなのでしょうが、比較的私のような体が硬く足が短い部類の人はここをしっかり床につけることで意識せずともひかがみが緊張(張る)し力を溜める状態になります。そうすると膝あたりに意識を掛ける(力を加える)だけで体が左足からの力を受けて前に押し出されるのです。
いわゆる「いつでも打突できる」体勢の中の左足の適正なポジションが取れるという事になります。

当然以前のように点で支えている状態ではなく、面で支えているわけで前進させる蹴り出しにも効果が見込めます。

ただし、ふくらはぎをあまり鍛えていない人がこの姿勢をすると途端に疲労することでしょう。これには普段からすり足の稽古をするなり癖付けするなりトレーニングが必要になってくると思います。
またこの状態を維持し続けるのではなく、緊張と緩和の動作を繰り返し行うことがベストなのでしょう。
私は慣れるまではなるべくその体勢を意識的に取るようにしました。
その時上体はやや前傾(見た目ほどは分かりません)させつつ胸を張り、頭も物見から相手がしっかり見えるようにします。




【左足の蹴り出し(押し出し)】
小さい面・早い面で一番難しいのが、この蹴り出し(押し出し)時における上体のバランスの取り方でした。
つまり、左足で体を前方に押し出した時右足は床から離れている訳で(あるいは接地していたとしても床との接地感は非常に弱いため)上体は弱い土台の上半分空中に浮いているような状況になります。そのため打突動作に入るため腕を伸ばしたり移動させようとするとその動きで重心が移動したり体がブレたりする訳です。結果いくら姿勢正しく移動できたとしても手打ちに似たような打突になるという、そういう事を繰り返していました。

そこで私は「左足の蹴り出し(押し出し)を以前より大きく取る」ようにしました。つまり以前より「股を大きめに開く」ということです。
蹴り出し地点をA、打突地点をBと考えた時、要はB点に到達した時背筋がまっすぐ上に伸びた状態であれば良い訳ですから、姿勢そのままの形でA地点からB地点まで左足で股を開いて押してやる、そう考えたのです。


股を開くということを自覚して行うのは大変ですが、上記の肉球部分を接地させ、できるだけ「しっかり」最後まで蹴り出すよう意識するだけで、形としては股が開いた格好になるのが分かったのです。


その際右足は特段意識することはありません。体が硬いと右足を前に出せば出すほど上体は前方に傾くからです。
右足は上体を前進させる最初の契機として少し出す程度、あとは踏み込む際の強度を上げるということだけを意識します。


では上記を行って打突地点までは姿勢崩れず体を移動させることができましたが、問題はその移動中に打突動作を行うことによるバランス崩れをどう対処するか考えました。




【肩を使う】
以前の私は打突する際、肘そして手首ばかりを意識していました。しかしこの考えを面打ちに限って今では捨てました。
「肩」を使うことにしたからです。そして打突動作開始のタイミングも変えました。

まず肩を使うということですが、これについては私が考えたわけでもなく以前から一般的に言われている事でしょう。

以前は構えた時点から振り上げるまでの過程を肘や手首の位置を意識して上げながら行っていましたが、構えた形そのままに肩から稼働させ腕全体を上げるわけです。そして腕全体を上げながら腕を伸ばす事、そして手首を前方に返す事(左手は引き手、右手は押し手)、それら全てをできるだけ短時間で同時に行うようにしました。手首含めた腕全体を「しなる棒」とみなして打突するのです。

この肩を稼働させて腕を振るという動作は試してみるとお分かりになるかと思いますが「腰」に力を溜めないと非常に難しいのです。瞬間的ではありますが腹筋と背筋の支えなくてはできない、腰砕けの状態になりますから。
また移動中の上体のバランス崩れを無くす為、できるだけ相手とのギリギリの間合い(B地点直前付近)まで構えを崩さず瞬時に肩上げ、腕伸ばし、手首の送りという全部の作業を行います。
竹刀の軌道としては突きのように相手に向かいながら相手の手前で急激に竹刀が上昇しつつ振り下ろされるような格好です。

肩稼働の振り上げは体の蹴り出し時点で既に腰に力を溜めておかないといけない訳です。つまりいつでも打突できる体勢をとった時点で腰に力を溜めなければなりません。




【打突 残心】
構えた状態のまま肩稼働で腕全体をあげる訳ですから、その時点で打突に際しての振り幅(振り落しに必要な角度)は稼いでいることになります。あとは手首含めた腕全体をしなる棒のようにして打突する感じです。
そのため打突に際しては手首を相手の方向に振り下ろすだけの意識で十分です。勿論打突の際は左手はしっかり握りつつ引き上げ、右手の親指に力を加えて前方に竹刀を押し込む動作は忘れずに行いますが、ここで「切るように」しっかり面の下まで竹刀が貫通するくらいの気持ちで深く切り落とす意識を持ちます。
面に当たってもないのに竹刀が途中で止まることはありえません。しっかり両断するような心持ちで深く落とすような意識で打突します。
仮に相手に面打ちを仕掛け、その技が竹刀で捌かれていても、相手の肩口まで竹刀が振り下ろされるような、そんな打突を心掛けます。

左足の蹴り出しがうまくいき、しっかり腰に力を蓄えながら打突動作ができれば、右足には荷重がたっぷりかかった状態になるため、打突時の踏み込みは必然的に大きな音を発します。
右足の踏み込みが大きくできれば打突時の勢いを使いながら左手は相手にパンチするように伸ばしていくと必然的に左足の引きつけも難なく素早く行うことができます。

また打突後の残心も素早く行います。打ち抜けの最初の1歩をしっかり素早く行う事で技を大きくダイナミックに見せることができるからです。あとは素早く抜けつつ遠間の位置に到達した時素早く反転し切っ先を相手に向ける、この工程までを一連で行います。


以上が、ここ数ヶ月取り組んできた私の面打ちになります。





この面打ちの効果についてはいろいろあります。

残心含め打突が大きくなったこと
見栄えが良くなり技が小さく見えなくなりました。

打突力が飛躍的に上がったこと
打突音が以前に比べて全然違うようになりました。
そして相面などで一方的に撃ち負けることは無くなりました。


しかし体の負荷はそれなりにあります。
まず太もも、腰回り、股関節など今まで筋肉疲労を覚えなかった部位に疲労を感じるようになりました。
私は多い時には週3回みっちり稽古を行っていますが、それでも疲労を感じるようになったのは驚きでした。
つまりは使っていなかった部位だったということなのでしょう。腰回りは特に腹筋や背筋だけじゃなく側面含めて360度全周疲労感があります。
股関節については相当自分でも硬いので仕方ないのですが、それだけ股を開けていることは実感しています。


肩の稼働を使う打突は上体をくまなく稼働させるため全身で打突している感覚があります。技にこじんまりした感じが無くなったのはとても大きな発見でした。


これから更に熟成させていくべく稽古を経て、まずはこの打突動作を体に浸透させて行くつもりです。
繰り返し行いながら洗練させていけば、体への負荷も軽減できる形を見出せるのではないかと考えているからですが。




そして、やっぱりここに来て思うのは技を磨くことの重要性です。
面打ち、小手打ち、胴打ち。こうした基本技を残心含め日頃の稽古からしっかり取り組む事が、上達にはとても大きな要素だと改めて実感するのです。
技が未熟の状態では地稽古で吸収できるものは少ない、むしろ技の打ち込み稽古を入念に行う事の方が未熟な人にとっては最短で最大限の効果を感じ取れると確信しています。


その分打ち込む際には地稽古を想定し真剣勝負の心持ちで残心動作含めて繰り返します。
そして、大きく打てるようになったら小さく打てるように、小さく打てるようになったら早く打てるように、早く打てるようになったらキレを出して打てるように。
ひらすら時間を掛けて細胞に技が浸透するまで打ち続けながら、どんどん洗練させてください。技がしっかり打てるようになったら、出来る出来ない関わらず、地稽古のやり取りを楽しめるようになります。


地稽古をやりたい、楽しみたいと思うなら、まず面打ち、小手打ちを磨いてください。しっかり腰を入れて振れるよう日頃から鍛錬してみてください。そしてひたすら相手の出頭を狙い自分から攻めて行きましょう。
応じ技は後でいくらでもできます。まずは出頭を抑える稽古を学んでください。相手の動き雰囲気を物見から観察して察知する能力を養いましょう。竹刀さばきなんてどこかに置いてしまって構いませんから。


1回1回の稽古の時間を最大限に利用し活用し、そして吸収しましょう。稽古量も大切ですが量が稼げない人は質を重視してください。体を動かせない分、頭を働かせれば補うことがたくさんありますから。
自分を見つめましょう、自分の得手に謙虚になり不得手に正直に向き合ってください。


そうして幾日も掛けて精進していけば、自ずとあなたの欲するものは手に入るようになります。

この記事へのコメント

2019年11月11日 22:51
いつも ありがとうございます。

おかえりなさいませ。
お待ちしておりました。(笑)

この度のお話は…
先日の習ったばかりの面打ちにとてと似ています。

その先生から…ひとこといただいたのが…

左足がぁ とか ひかがみがぁ とか
色々あるんだけどさぁ
一言でいうとぉ…
「ヘソを相手に向けろ」ってぇことよ!
※そのうちブログに書きます。

だそうです。
宜しかったらお試しください。

これからも投稿を楽しみにしております。
定点観測人
2019年11月12日 06:31
またおやまあさん、ご無沙汰しております(笑)

以前ような更新はできませんが、たまに上げていければと考えています。

ヘソを相手に向ける、、、まさに打突動作がそうですよね。なるほどです。また拝読させてください。

私は今回書いている肩稼働の打突を行いながら「腰を入れる」という意味が分かり始めている気がしています。丹田に力を溜めること、もそうかも知れません。
残心の取り方考え方含め、技全体を改めて考えさせられるきっかけになったような気がしています。
暫くこのやり方を続けつつ、そこから学んでいこうと考えています。