素振りから見えるもの part3

一挙動の前進素振り100回。このくらいの回数は普段されてる方からすると何てこと無いかも知れませんが、半年のブランク明けの私の状態では相当キツイ。


だから、少しでも「楽」ができるにはどうしたらいいか、そればかりを考えて行っていました。
そうすると、試行錯誤の中いくつかコツを発見します。


・胸を反らし、胸を前進させようと意識すること
・腕の力を極力抜いて、肩を使うこと
・腰を前身させようと意識すること
・前身の際のきっかけとして「右膝」を意識すること



これらは、私が主張するも何も、これまでいろんな方からも先生からも、webで見てきた情報でも知り得たもので目新しいものでもなく、発見ですらないでしょう。


ただ、悲しいかな、私はこれを体感すること、体験として実感したことは今まではなかった。そしてこれが「楽」だという考えと結びつけたことがなかったのです。


例えば、胸を反らすということは要は背筋・腹筋が使えるということ。今まで理屈では知ってはいましたが、竹刀を振り上げるのが「少し」楽になり、振り下げも楽になることまでは本質的には体感できなかった。

腰を前進させようとする。これは即ち腰から上の「上体」を打突方向に前進させることになり、しっかり姿勢を立たせた上体で打突動作が行えますが、これも腰を前進させると上体の前進動作自体が楽になるという体感には今までは結びついていなかったのです。

右膝も同様です。疲労が重なると腰を前進させようとすることすらできなくなった時、始動の際に右膝を意識する、つまり少し力を入れるような働きを促した時体がすっと前に出て行ってくれるのです。

素体2.png


図解すると

1.③まず右膝に軽く意識を持たせて
2.①胸を張り、胸と②腰を同時に前進させるように意識し
3.肩を使って拳を振り上げると同時進行で体を拳の下に滑り込ませるように進ませ
4.前進の勢いを利用して拳を前方に放り投げるように振り下ろす
5.荷重が右足に適切に移っていれば、左足の引きつけは自然に速くなる



体のどこかに殊更力を加えようとするのではなく、できるだけ「楽」にスムーズに一連の動作ができることのみを考え実行します。すると上体に必ず「腰」が入ることで全体の動作を楽に行えるということに気づいてきます。


大切なのは一連の動作を自分が「楽」だと感じること。体感すること。
胸を張って腰が「入る」感覚をしっかり掴むこと、そしてこの感覚を自然に楽に感じること、この感じるという事がミソなのです。


ただこの楽さ加減は人それぞれ違うかも知れませんし、いかに楽にしようが数多く素振りを行うと怪我をする恐れもありますので、素振りの機会に自分の最適な楽なポイントがどこにあるか探ってみてください。


また、いろんな方に指導されている「形」から逸脱していたり、刃筋が乱れていたりは本末転倒なので、そこはきちんと意識して行ってみてください。




大人から剣道を始められた方は総じて真面目に取り組んでおられるでしょうし、大人であるからこそwebやyoutubeでの情報収集、書籍を購入するなどして予習復習を欠かさず行いつつ、先生のご指摘にも真摯に耳を傾けられていることだと思います。


そこから稽古を積み重ねることで日々練度が上がっていくなら申し分ありませんが、ある日どこかで停滞してしまうことありませんか?


正しい姿勢、正しい構えで打突稽古を行っているけれど、地稽古になった途端に手打ちになってしまったり、腰を入れろ!だとか左足の引きつけを早くしろ、などと指摘されたりしませんか?
それ以前に攻める時に構えが崩れず行えていますか?


テーマの最初にお話ししましたが、剣道とは長い竹刀を持ち、足を前後にして竹刀を自在に運用しなければなりません。そこで最も重要なのが体のバランスなのです。

バランスが崩れてしまうと打突がおかしくなるばかりか攻めたり守ったりと体を移動するだけでも姿勢が崩れてしまいます。

上達が停滞されている方の中には、知識として、約束事として正しい姿勢を理解されているだけではないか、知識だけでなく「体」で、体感で実感しているかどうかを問いたいのです。




かくいう私自身が、どちらかといえば知識が先行しているタイプでした。
姿勢、すり足、打突。こうあるべきという意見や知識、文字に半ば縛られすぎていたように思います。今更恥ずかしいことなのですが随分遠回りをしてきたようです。


大事なのは自分が体感する感覚なのだと。「やるべき」「するべき」という知識ではなく自然で楽な実感としての感覚に裏付けられているかどうかがとても大事なことで、それが自然な形なのだということです。


不安定な自転車という乗り物を自在に操るように、竹刀という長物を持ちながら自在に体を移動させて打突を行うには、最適なバランス感覚がとても重要なのです。


そして、それが素振りという基本中の基本稽古、一人稽古の中で養える、そう強く思っています。


そして、バランスを身につけることは、剣道スキルを1段2段と跳ね上げていくことに繋がっていくのです。

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